無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?


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 十数分後。
 身支度を終え、深呼吸をしてから客間に入ると穏やかな表情で畠山さんとの会話を楽しむ緑谷くん。

 緑谷くんとは初対面。それなのに、ほんの十数分で距離を縮めるなんて……!

「お嬢様がお越しになりましたので、おいぼれはここで失礼します。翡翠様、楽しいお時間ありがとうございました」

「いえ。こちらこそ。ありがとうございました」

 そう言って、畠山さんは客間から出て行ってしまった。
 一体二人は、どんな話をして盛り上がったの……?

 そして、私が入ったらーー超、真顔。さっきまでの穏やかな顔はどうしたの?

「ご、ごめんね。お待たせしちゃって」

「ーーいや、こちらこそ申し訳ない。アポイントも取らず、不躾に訪ねたんだから。気にしないでくれ」

 そう言って、ローテーブルの上に置いてあった麦茶を一気に飲み干した。
 喉、渇いてたのかな?

「えっと……おかわり、持ってこようか?」

「いや。お構いなく」

 ……。

 き、気まずい。二人きりだと、沈黙の時間が長すぎる。

「む……村崎」

 しばらくの静かさが終わると、ぎこちなく呼ばれた。向かい合う形で座るのは、婚約者候補として紹介されたあの日のよう。