ライバル店の敏腕パティシエはスイーツ大好きな彼女を離さない〜甘い時間は秘密のレシピ〜

 大きめのクイーンサイズのベッド、真っ白なシーツの上に横たわる。
 目の前には、シャツのボタンを外した愁さんがいる。
 いつもより近くに感じる息遣いと、静かに交わされる視線に、胸の奥が熱くなる。

 彼の手が私の頬をそっと包み込み、唇が触れ合う。
 最初は軽く、触れるか触れないかのような優しいキス。
 その感触に、こわばっていた肩の力が自然と抜けていく。

 なんて甘くて、優しいキスなんだろう。
 ゆっくりと深まる口づけに、意識が彼の温もりへと引き寄せられる。
 互いの体温が重なり合い、静かなホテルの部屋に、心臓の鼓動だけが響いているように感じた。
 
 ──このまま、時間が止まればいいのに。

 そう思った瞬間、愁さんの腕が優しく私を抱き寄せる。
 ためらいがちな仕草と、確かめ合うような指先の感触。
 ゆっくりと距離がなくなっていく中で、私はただ彼を信じ、身を委ねた。
 
 冬の夜の静けさの中、私たちはひとつになって、彼の腕の中へと溶けていった──。