一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
フランス? なぜ?
愁さんの瞳は真剣そのもので、私の目をしっかりと捉えていた。
「フランス……って、どういうことですか?」
胸の奥がざわつく。
愁さんは静かに息をついてから、再び口を開いた。
「実は、日本とフランスのパティシエをつなぐプロジェクトに誘われたんだ」
「プロジェクト?」
「ああ。フランスの製菓学校と日本のパティスリーを結ぶ新しい試みで……僕もメンバーに選ばれたんだ」
「すごい!」
手を合わせて驚く。フランス。パティシエの本場。
愁さんにとっては、夢のような場所だろう。
プロジェクトの内容はよくわからないけれど、選ばれたということ自体は、素直にすごいと思った。だけど──。
それは、愁さんと離れ離れになるということ。
一瞬にして、喜びの気持ちは消え失せ、苦しくなった。
愁さんと一緒にいた時間、積み重ねた思い出が、一瞬にして遠ざかるような気がして──。
「いつ、ですか?」
声が震えそうになるのを必死にこらえながら、私は訊ねた。
「年末の便で発つよ」
「……そんな急に?」
フランス? なぜ?
愁さんの瞳は真剣そのもので、私の目をしっかりと捉えていた。
「フランス……って、どういうことですか?」
胸の奥がざわつく。
愁さんは静かに息をついてから、再び口を開いた。
「実は、日本とフランスのパティシエをつなぐプロジェクトに誘われたんだ」
「プロジェクト?」
「ああ。フランスの製菓学校と日本のパティスリーを結ぶ新しい試みで……僕もメンバーに選ばれたんだ」
「すごい!」
手を合わせて驚く。フランス。パティシエの本場。
愁さんにとっては、夢のような場所だろう。
プロジェクトの内容はよくわからないけれど、選ばれたということ自体は、素直にすごいと思った。だけど──。
それは、愁さんと離れ離れになるということ。
一瞬にして、喜びの気持ちは消え失せ、苦しくなった。
愁さんと一緒にいた時間、積み重ねた思い出が、一瞬にして遠ざかるような気がして──。
「いつ、ですか?」
声が震えそうになるのを必死にこらえながら、私は訊ねた。
「年末の便で発つよ」
「……そんな急に?」



