私は、もう一度ケーキを食べる。
間違いない、レシピと味が違う。
隠し味はチョコレートだったはずなのに、この味は一体……!?
慌てて愁さんの顔を見るが、愁さんは一切の表情を変えず、涼しげな顔をしていた。
律花さんたち三名は、ケーキを食べ終えたようだ。
代表して律花さんが立ち上がり、勝ち誇ったような表情で胸を張って答える。
「ふふ。こんなの簡単だわ。爽やかなオレンジ風味の裏側に、ほんのりビターなチョコレートの味が隠れている」
その得意げな態度をさらりと交わすように、愁さんはふっと微笑んで目を伏せた。
「天音さん。正解を教えてあげて」
いいのだろうか、正解を言っても。
愁さんが間違えたという可能性も……。
ううん、さすがに作る工程でこれを間違えることは考えられない。
これは、なんらかの理由で愁さんが独断で変更したものだ。
『僕は、天音さんの味覚とセンスを信じてる。僕はケーキを作るから、何があっても僕を信じて』
レシピを完成させた時の、愁さんの言葉を思い出す。
私は、私の味覚を信じる。
愁さんを、信じる。
このケーキの隠し味は──
間違いない、レシピと味が違う。
隠し味はチョコレートだったはずなのに、この味は一体……!?
慌てて愁さんの顔を見るが、愁さんは一切の表情を変えず、涼しげな顔をしていた。
律花さんたち三名は、ケーキを食べ終えたようだ。
代表して律花さんが立ち上がり、勝ち誇ったような表情で胸を張って答える。
「ふふ。こんなの簡単だわ。爽やかなオレンジ風味の裏側に、ほんのりビターなチョコレートの味が隠れている」
その得意げな態度をさらりと交わすように、愁さんはふっと微笑んで目を伏せた。
「天音さん。正解を教えてあげて」
いいのだろうか、正解を言っても。
愁さんが間違えたという可能性も……。
ううん、さすがに作る工程でこれを間違えることは考えられない。
これは、なんらかの理由で愁さんが独断で変更したものだ。
『僕は、天音さんの味覚とセンスを信じてる。僕はケーキを作るから、何があっても僕を信じて』
レシピを完成させた時の、愁さんの言葉を思い出す。
私は、私の味覚を信じる。
愁さんを、信じる。
このケーキの隠し味は──



