「初耳だぞ。嘘じゃあるまいな?」
「嘘じゃない」
口を固く結び、真剣な顔で答える。
すると父は、目を細めニヤリと笑った。
「ほう。それじゃあ、今度会わせてもらおうか? 出店についても、課題を出させてもらう」
「課題……?」
「おまえが考える最高のケーキを、風間のお嬢さんに食べてもらう。お嬢さんを味で唸らせれば、おまえの勝ちだ」
「なんだ、そんなこと。簡単じゃないか」
「ただし、今日のコンテストのケーキはダメだ。あれはすでにお嬢さんも食されたようでな。店にない、新しいケーキを考えること」
「なんだって?」
そういうわけで、僕は新しいケーキのレシピを考える羽目になってしまった。
翌日は、非常にイライラしながら仕事をしていた。
やはり店を休みにすれば良かったか……そう思っていた時、彼女――佐藤天音さんが店を訪れたのだ。
天音さんはきちんと行列に並んでいたのだろう、客として来店し、ケーキを購入して帰って行った。
なぜ来てくれたのだろう、昨日のコンテストで僕のケーキを気に入ってくれたのだろうか。
そんな思いがいっぱいだったが、考えている時ではない。
これは千載一遇のチャンスだ。
僕の方からファリーヌへ赴くことは難しいが、彼女の方から来てくれた。
僕は作業していた手を止め、裏口から外へ出た。ファリーヌへ帰るなら、裏手の方向だ。
ちょうど彼女が交差点を曲がったところで、声を上げた。
「嘘じゃない」
口を固く結び、真剣な顔で答える。
すると父は、目を細めニヤリと笑った。
「ほう。それじゃあ、今度会わせてもらおうか? 出店についても、課題を出させてもらう」
「課題……?」
「おまえが考える最高のケーキを、風間のお嬢さんに食べてもらう。お嬢さんを味で唸らせれば、おまえの勝ちだ」
「なんだ、そんなこと。簡単じゃないか」
「ただし、今日のコンテストのケーキはダメだ。あれはすでにお嬢さんも食されたようでな。店にない、新しいケーキを考えること」
「なんだって?」
そういうわけで、僕は新しいケーキのレシピを考える羽目になってしまった。
翌日は、非常にイライラしながら仕事をしていた。
やはり店を休みにすれば良かったか……そう思っていた時、彼女――佐藤天音さんが店を訪れたのだ。
天音さんはきちんと行列に並んでいたのだろう、客として来店し、ケーキを購入して帰って行った。
なぜ来てくれたのだろう、昨日のコンテストで僕のケーキを気に入ってくれたのだろうか。
そんな思いがいっぱいだったが、考えている時ではない。
これは千載一遇のチャンスだ。
僕の方からファリーヌへ赴くことは難しいが、彼女の方から来てくれた。
僕は作業していた手を止め、裏口から外へ出た。ファリーヌへ帰るなら、裏手の方向だ。
ちょうど彼女が交差点を曲がったところで、声を上げた。



