ライバル店の敏腕パティシエはスイーツ大好きな彼女を離さない〜甘い時間は秘密のレシピ〜

 そこには、ワイシャツ姿の創ちゃんが立っていた。
 店に入ったばかりなのか、少し汗ばんでいる。
 
「創ちゃん!」

 創ちゃんは周りをきょろきょろと見渡してから、こっちを向いた。

「一人か?」
「うん、そうだけど?」

 なんでわざわざ、一人かどうか確認したんだろう……?
 あ、もしかして百合香がいたらとか警戒してる?
 最初に会った時、喧嘩になりそうだったもんなぁ。

「相席、いいか?」
「いいよ、どうぞ」
 
 創ちゃんは私の向かいの席に腰を下ろした。

「何か注文するところだったか?」
「うん、ちょうどお昼だし」
「天音がスイーツ以外食べてるとこ見るの、なんか久々な気がする」
「ひどっ」
 
 それじゃあまるで私が食いしん坊みたいじゃない、と笑いながらツッコむ。
 ……まあ、否定はしないけど。
 
「創ちゃんは、何にする?」
「俺も同じのにしようかな」

 二人ともパスタランチを注文する。