ライバル店の敏腕パティシエはスイーツ大好きな彼女を離さない〜甘い時間は秘密のレシピ〜

 創ちゃんは、私たちと同じ席の向かい側に腰を下ろし、店員さんにアイスコーヒーを頼んだ。
 百合香は私の隣に移動してきた。テーブルを挟んで向かい合う形になって、なんだかちょっとした尋問のような空気になってしまった。
 そんな空気を破ったのは、創ちゃんだった。

「一応、自己紹介しておきます。一越(いちごえ)創太(そうた)っす!  天音の幼馴染で、建築士やってます」

 創ちゃんは人懐っこい笑顔を浮かべて、元気よく百合香に向かって頭を下げる。
 百合香の表情は、まだ少し硬いままだ。
 
「あたしは、古津(ふるつ)百合香(ゆりか)。よろしく。天音と同じ大学よ」
 
 ぶっきらぼうに返事をしながら、百合香は雑誌に目を戻す。
 創ちゃんはそれに気づき、雑誌のページに目を止めた。

「なになに? イケメンパティシエ......? 天音、もしかしてこういうのがタイプなのか?」

 ニヤリと笑って、からかうように言ってくる。
 
「タイプっていうか......愁さんは確かにかっこいいけど......」
「愁さん? 知り合いなのか?」
 
 その時、百合香の目が鋭く光った気がしたかと思うと、私の肩を掴んで言った。
 
「天音はこの人と付き合ってるんだよね!」
「ちょっ......百合香!」

 百合香には、さっき「恋人役」だって説明したばかりなのに、どういうつもり!?
 
「な、なにーっ!? 天音、マジで!?」
「それは......!」