ライバル店の敏腕パティシエはスイーツ大好きな彼女を離さない〜甘い時間は秘密のレシピ〜

「答えてください。日本でも有名なシャルロット・ヴィルニエと、どういう……きゃっ!」

 言い終える前に、愁さんは私を抱き上げ、ふわりとベッドへ下ろす。
 そして、私の上に覆い被さり首筋や鎖骨に何度もキスを落とす。

「しゅ……愁さん!」
「嫉妬してくれてうれしいよ」
「そうじゃなくて、どういう関係なんですか!?」

 愁さんは、ふふっと笑う。

「シャルロットは、僕のイトコだよ」
「イト……コ……?」
「そう。フランスに住んでたことがあるって、言っただろ? 僕は、彼女の家に世話になっていたんだ」

 そう言って、愁さんは子どもの頃のことを、かいつまんで話してくれた。
 謹二さんの仕事の都合で、三年ほどフランスに住んでいたこと。
 そして、シャルロットは昔から奔放な性格で、親しい間柄の人間には、挨拶で頬にキスをすることがある、と。
 愁さんのことを信じないわけではないけど、心に引っかかっていることは、まだある。

「で、でも、イトコでも恋愛感情とか……」
「ないよ。それに、シャルロットはカロン氏の恋人だしね」
「カロン氏の……恋人!?」

 まさか、あの二人がそうだったなんて。
 二人が並んで立つ姿を想像する。
 美男美女だけど、年齢差を考えるとちょっと意外だった。
 
「えっ? でも、愁さんがパーティーに連れてきたって……」
「……ん?」

 愁さんは、視線を上に向けて考え込む。

「……ああ! ごめん、そういう意味じゃなかったんだ。『どうして謝るの?』って理由を聞かれたから、『()()()()()()()()()()()連れてきたのは僕だし』って意味で言ったつもりだった」

 その時のことを、訂正してくれた。
 
「イトコだ、って何度も説明しようとしたんだけど、その度に邪魔が入って──」

 そういえば、パーティー会場で愁さんが、何度かなにか言いかけてたような気がする。

「……安心した?」

 小さくこくりとうなずくと、愁さんは優しく微笑んで私の頭を撫でる。
 勘違いで嫉妬してしまうなんて、恥ずかしさのあまり、両手で顔を覆った。
 すると、愁さんの手が私の首筋に触れ──
 
「もう、いいよね……?」