ライバル店の敏腕パティシエはスイーツ大好きな彼女を離さない〜甘い時間は秘密のレシピ〜

 ──ショコラティエ。

 洋菓子の中でもチョコレートを専門に扱う菓子職人のこと。
 チョコレートの知識はもちろん、繊細な温度管理や緻密な作業が求められる、高度な技術職だ。

 特にフランスには、世界中のパティシエやショコラティエが憧れる名店が数多く存在している。

「もちろん! 日本でも、『アントワーヌ・フォレ』や『ティエリー・カロン』が有名ですよね。バレンタインチョコを買ったことがあります。美味しいですよね」

 パリの夜景に囲まれながら、こんなロマンチックな場面でもスイーツの話になるなんて——でも、それが私たちらしくて、なんだか微笑ましい。
 でも、どうして急にショコラティエの話になったんだろう?
 首を傾げていると、愁さんが少し含みを持たせるような口調で言った。
 
「……その、ショコラティエのパーティーに招かれているとしたら……どうする?」

 その言葉を聞いた途端、鼓動がひときわ強くなる。
 そんな場所に行けるなんて、本当に?
 私の顔がぱっと明るくなるのを見て、愁さんがクスリと笑った。

「ふふっ……。天音さんは、どんな宝石よりもスイーツの方がいい表情をするね」
「す、すみません……」

 あまりにも単純すぎる自分に気づき、思わず自分の頬をぺちぺちと叩く。
 少し落ち着こう……。

「実は、MOFのティエリー・カロン氏に、ホームパーティーに招かれているんだ」
「MOF!?」