ライバル店の敏腕パティシエはスイーツ大好きな彼女を離さない〜甘い時間は秘密のレシピ〜

 翌朝、目が覚めると目の前に愁さんの寝顔があった。
 長いまつ毛が微かに揺れ、柔らかな寝息が聞こえてくる。
 普段は冷静で大人びた愁さんの、こんな無防備な姿を見られるのは、なんだか特別な気がした。
 じっと見つめていると、彼のまぶたがゆっくりと開く。

「……おはよう」

 低く、眠たげな声に、心臓が跳ねる。
 
「おはようございます」
 
 体を起こそうとした瞬間、ふわりと腕が伸びてきて、私はそのまま愁さんの胸元へ引き込まれた。
 
「……もう少し、このままで」

 低く囁く声に、耳の奥がくすぐったい。
 
「まだ寝ぼけてます?」
「……そうかも」

 そのまま、愁さんの腕の力が少しだけ強まる。
 
「寝ぼけてたら、なにをしてもいい?」

 さらりと囁かれた言葉に、息が詰まる。
 
「だ、だめです……」
 
 慌てて答えると、愁さんはクスッと笑った。
 なにをするつもりなんだろう。
 想像して、ドキドキして胸がいっぱいになってしまう。