ライバル店の敏腕パティシエはスイーツ大好きな彼女を離さない〜甘い時間は秘密のレシピ〜

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 初詣から帰ってきた私は、すぐに着替えて早速、大学のホームページを確認した。
 春休みを利用した海外留学の案内が、いくつか載っている。
 その中には、フランスもあった。
 提携するパリの大学で語学を学べるプログラムで、期間中は学生寮にも入れるらしい。
 春休みは、二月上旬の試験が終わるとすぐ始まり、4月上旬まで続く。
 留学期間は二月中旬から三月末まで。ちょうどいい期間だ。
 申し込み締め切りは……一月九日。危ない、ギリギリだった!

 もともと海外添乗員の資格取得も視野に入れていたので、英語とフランス語の授業は受けている。
 とはいえ、フランス語はまだまだ難しく、簡単な会話ができる程度だ。
 留学の詳細ページを開くが……。

「うっ……高い……」

 約1ヶ月半の滞在費は、思わず目をそらしたくなるほどの金額だった。
 さらに、航空券代やビザの手続き費用を加えたら、ちょっと両親には相談しづらい。
 ため息をつきながら、自分の預金通帳を手に取る。
 
 お年玉、そしてお父さんの店を手伝ったバイト代。
 これまでコツコツ貯めてきたお金がそこにはある。
 これを使えば、行ける。

 でも、愁さんは喜んでくれるだろうか?
 語学留学という名目はあるけれど、実際のところ、一番の理由は愁さんのそばにいたいから。
 そんな動機で大金をはたいて留学を決めたと知ったら、呆れられるかもしれない。

「……迷惑、かな」

 通帳を握りしめたまま、ぼんやりと天井を見上げる。
 ただ近くにいたいだけなのに。
 でも、それだけで決めていいことじゃないとも理解している。
 留学は、憧れだった海外添乗員の夢にもつながる。
 まずは、両親に話してみよう。話はそれからだ。