お参りを済ませた後、百合香と一緒に、境内に並ぶ屋台のひとつへと足を向けた。
小豆の甘い香りがふんわりと漂い、冷えた体を誘うように包み込む。
そう、ぜんざいの屋台だ。
手渡された紙のお椀を覗き込むと、艶やかに輝く小豆がふっくらと煮え、湯気とともに甘い香りが立ちのぼる。朱色の汁に浮かぶのは、こんがりと焼き目のついた白いおもち。割り箸でつまむと、やわらかくとろけるように伸びた。
汁を啜ると、小豆の甘みとほんのりと感じる塩味が、じんわりと舌の上に広がる。
優しい温かさが喉を通り、冷えた指先までじんわりと温めてくれる。
もちもちとしたおもちを噛むたびに、甘さがゆっくりとほどけていく。
冬の澄んだ空気の中で、心までほどけていくような、そんな味だった。
「は〜〜。たまには、和菓子もいいよね」
「ほんと、お正月って感じよね」
そう言いながら百合香は器を空にして、ひと息ついた。
境内にはまだ初詣の人々が行き交い、どこかの子どもが屋台の綿あめを嬉しそうに抱えている。
ぜんざいを食べ終えた後の穏やかな空気の中、不意に百合香が口を開く。
「ねえ、天音」
名前を呼ばれ、私は顔を上げる。
百合香は、どこか真剣な表情をしていた。
「愁さんがいない間、ずっと待ってるつもり?」
唐突な問いに、私は思わず視線を泳がせる。
小豆の甘い香りがふんわりと漂い、冷えた体を誘うように包み込む。
そう、ぜんざいの屋台だ。
手渡された紙のお椀を覗き込むと、艶やかに輝く小豆がふっくらと煮え、湯気とともに甘い香りが立ちのぼる。朱色の汁に浮かぶのは、こんがりと焼き目のついた白いおもち。割り箸でつまむと、やわらかくとろけるように伸びた。
汁を啜ると、小豆の甘みとほんのりと感じる塩味が、じんわりと舌の上に広がる。
優しい温かさが喉を通り、冷えた指先までじんわりと温めてくれる。
もちもちとしたおもちを噛むたびに、甘さがゆっくりとほどけていく。
冬の澄んだ空気の中で、心までほどけていくような、そんな味だった。
「は〜〜。たまには、和菓子もいいよね」
「ほんと、お正月って感じよね」
そう言いながら百合香は器を空にして、ひと息ついた。
境内にはまだ初詣の人々が行き交い、どこかの子どもが屋台の綿あめを嬉しそうに抱えている。
ぜんざいを食べ終えた後の穏やかな空気の中、不意に百合香が口を開く。
「ねえ、天音」
名前を呼ばれ、私は顔を上げる。
百合香は、どこか真剣な表情をしていた。
「愁さんがいない間、ずっと待ってるつもり?」
唐突な問いに、私は思わず視線を泳がせる。



