バッ! と、花開く音が聞こえた気がした。
顔を上げると、頭の上で梅の花が満開になっていた。
ひらひらと花びらが舞い落ちる。
傷ついていた梅の木。
元気の無かった梅の花。
そんな事がなかったみたいに、梅の花は美しく咲いていた。
振り向いて、鹿島先輩を見る。
鹿島先輩も、透けていたのが嘘だったかのように、体は色づいていた。
もう決して、鹿島先輩の奥は透けて見えない。
触れてみると、前より温かい、人の温度を感じる。
この人は、もう消えない!
「鹿島先輩!」
感極まって抱きつくと、背中を優しく手を回される。
「良かった。本当に良かった」
嬉しくて、安心して、涙が溢れてくる。
「紅!」
「鹿島センパイ!」
「鹿島先輩!」
「鹿島先輩」
私からは見えてないけど、みんなも先輩に抱きついていたみたいだ。
ぎゅっと苦しくなる。
「ありがとうございます。皆さんのおかげで助かりました」
鹿島先輩の声は、安堵していた。
「私が花の精だからこんな目に会ったのだと思っていましたが、花の精だから助かりました……奇跡って、起こるんですね」
「そりゃあ、勿論! オレがいるからね!」
「貴方が威張らないでください」
鹿島先輩ってば、厳しい。
「でも、本当に夢野先輩が居てよかったです。ありがとうございます、奇跡を起こしてくれて」
「ああ。こらからも、オレに任せてくれ!」
夢野先輩は、素敵な笑顔で答えてくれた。



