生徒会寮三階の談話室に、私、夢野先輩、千代田くん、鼓くん、影谷くんの五人が集まる。
一年生三人は、一日中泣いていたような顔をしていた。
お通夜のような空気って、今みたいな事を言うのかな。
重苦しい雰囲気と、啜り泣く声だけが聞こえる。
「どうにか、どうにか、出来る方法はないですか?」
私は、止まらない涙をそのままにして、夢野先輩達に問いかける。
だって、鹿島先輩が消えてしまうなんて嫌だ。
静かに俯いていた夢野先輩が、口を開く。
「一つだけあるよ、奇跡を起こすんだ」
「ふざけているんですか?」
夢野先輩は、いつものように明るい笑顔で言っていた訳では無い。
でもつい、そう言ってしまった。
「本気で言っているよ」
夢野先輩が真剣な顔で言うから、私は押し黙る。
「それって、鹿島センパイと花咲が愛し合って、人間にするって事? できるのか、そんなの?」
鼓くんの質問に、夢野先輩は笑う。
「やってみようって話しさ」
いつもの、自信満々とは違う、追い詰められた末に出たような笑い方。
「桜ちゃんは、紅の事どう思っているんだい?」
鹿島先輩のこと……
「好きですよ。でも、恋じゃ無いし、愛しているかは分からないです……消えて欲しくは無いけど、これが今の素直な気持ちなんです。それでも、奇跡って起こせるんですか?」
夢野先輩を見ると、先輩はしっかりと頷く。
「起きるから、奇跡なんだよ」
夢野先輩の言葉は、希望だった。



