二人ともそれぞれ考えていると、
ーーコツ、コツ
ヒールの足音が聞こえた。
誰か来た?
そちらを見ると、一人の女性が歩いて来ていた。
六十代後半くらいだが、背筋はピンと伸びていて、品の良いスーツを着ている。
「何やっているんですか貴方たち」
その女性は、怖い顔で私達を見ている。
この人って確か……
「あ、理事長。すまない、やらかしてしまった」
会長は軽く言っているけど、やっぱり、この学校の理事長だよね。
私も転入の時に挨拶をした。
「すまないじゃないですよ、すまないじゃ」
理事長は、ため息をつくと厳しい顔を崩し、片手で額を押さえる。
「青、貴方、彼女に何を話しました?」
「オレが花の精だって事を言ったよ!」
「自信満々に言わない」
理事長は、会長の言葉をぴしゃりとはね除けるけど、会長は気にしていない。
「だけど見てくれ、この子を」
会長は、私の肩を掴むとぐいっと引き寄せる。
「ピンク髪! 桜の精みたいだろう?」
理事長相手にもここまで言うってやっぱり、会長が花の精って本当のことだったんだ。
その驚きは、
「転入生ね。なぜ、ここに?」
理事長の、会長に向けていた孫を見る様な目とは違う、厳しい教師の目で私を見たことで、心臓が縮こまり、長続きしなかった。
「えっと……」
なんて言えば良いのか、分らない。
ここって入ったら退学になる場所なんだよね。
クラスの子に閉じ込められたって言って信じてくれるかな……
私がぐるぐると考えていると、会長が代わりに答えた。
「この子は、閉じ込められてしまったらしいんだ」
その説明に、理事長は片眉をあげる。
「閉じ込められたとは、物騒ですね。どこの扉から閉じ込められたか、覚えていますか?」
その質問には私が答える。
「あっちの鉄扉の先の、扉です。木枠で囲まれたガラスのやつ……」
来た方を指さすと、二人の目線もそちらに向う。
「あそこなら監視カメラが有るから、それを確認すればいいんじゃないかな?」
会長の言葉に理事長は頷いた。
「そうします。少々お待ちを。青、余計な事話さない様に」
「ああ」
理事長は、またヒールの音を立て、来た方向へ帰った。



