「闇を照らす、素晴らしい音楽、素晴らしい歌。貴方が奇跡を起こしてくれたから、私は光の下にでられました」
演劇部が用意してくれた、淡いブルーの白に近いドレスを着て、ピカピカとライトのついたステージの下で、私は夢野先輩に告げる。
言っていることは大人しいけど、マイクは無いから大きな声で。
「これは、オレの力じゃない。みんなのおかげだよ」
夢野先輩が、大きく手を観客席の生徒の方へ向けると、口笛や指笛、歓声が聞こえてくる。
ノリいいなぁ。
夢野先輩、頼んでおいたのかな。
指を組み俯きながらも、講堂内に響くよう大きな声を出す。
「貴方の恋を知りました。優しく豊かな、貴方の心、眩しい輝き」
少し大変だけど、始めてしまったんだから終わらせよう。
「なんて、素敵なものでしょう」
じっと、夢野先輩を見つめる。
本当は、恋してるような雰囲気を出せたらいいんだけれど、演技をしたことないから難しい。
それに対して夢野先輩は、
「それは全て、キミを思ってのことさ」
恋しているような、まっすぐで甘い優しい顔で告げる。
伸ばした手に、無意識で触れたくなる。
誰も見えないんだから、そんな本気の顔しなくていいのに……
「それを嬉しく思います。ですが、私は貴方に返せるでしょうか」
「返すなんて、考えなくて良い。共に歩んでいこう!」
夢野先輩が告げると、壮大な音楽が流れ、幕が降りていく。
生徒達から、パチパチと拍手が届く。
「演技、上手でしたね」
幕が完全に降りきって、夢野先輩に近づく。
声だって、もう、いつも通りの大きさ。
夢野先輩は、私に向けて笑いかける。
「それは、相手が桜ちゃんだったからだよ」
……絶対そんなことないでしょ。誰が相手だって上手くやると思う。
でも、そう言われて悪い気はしなかった。



