「貴方は何故、奇跡を起こしたいの?」
私の問いに、夢野先輩は嬉しそうに、満開の笑みで答える。
「オレは恋をしているんだ! だから、キミに闇から出てきて欲しい!」
「私はいつも闇の中。貴方に顔を見せたこともない。それでも、恋って言えるの?」
「勿論、オレは恋している!」
「貴方は私のどこに恋したの?」
台本なんてないけど、ポンポンと言葉は出てくる。
それはきっと、夢野先輩が凄いから。
「キミの心に恋をした!」
大きく伸ばした手が、講堂内に響く声が、輝くような笑顔が、みんなを、私を、魅了する。
「それを今日、証明しよう」
誰もが夢野先輩から目を離せない。
トラブルが有ったなんて忘れて、夢野先輩だけを見ている。
「オレ達の奏でる素晴らしい音楽で! 花が咲くような美しい奇跡を起こすよ!」
夢野先輩が両手を広げると、音楽が鳴り始め、ステージにいた子達が歌い出す。
あ、元に戻った。
良かったけど、まだ夢野先輩がステージに立っているのを見ていたかったな。
こんな良いタイミングなのは、舞台袖から合図をもらってたのかな。
「お疲れ様でした」
立っている必要が無くなったので座ると、鹿島先輩が労いの言葉をくれる。
「はい。無事に始まりそうで、良かったです」



