怒った私を抑えるように、男は私の両手を取る。
ぎゅっと優しく握りしめたまま、キメ顔でそっと囁く。
「知らなくて良いことだから、怒らないでくれ。キミは怒ってない方が魅力的だよ」
その顔に、クラッと来てしまいそうになる。
顔……顔が良い‼︎
「それより、転入生は、どうしてここに居るんだい?」
さっきまで騒がしかった男が落ち着て真面目に聞いてくるから、私も怒りの気持ちより、ちゃんと答えなきゃって気持ちになる。
決して、顔の良さに負けたわけではない。
「その、なんか閉じ込められちゃって、出る方法探していて……」
「なる程ね」
私の手を離すと腕を組み、男は目を閉じながら、ウンウンと頷く。
やっぱりこの人、顔が良いな。って、そうじゃない!
さっきから、顔のことにしか意識がいっていないけど、もっと気にしないといけないことが有るじゃん!
「貴方は、誰なんですか? 制服着てますけど、花の精? うちの学校の人なんですか?」
「キミ、オレの事を知らないのかい!?」
男はカッと目を開けると、私の両肩を掴む。
「知らないですけど」
そんなに驚くような事?
男は、私の両肩から手を離すと片手を胸に当て、もう片手を私に差し出した。
「なら、教えてしんぜよう。オレは、開花学園中等部生徒会長、夢野青! 奇跡を起こす男さ!」
「生徒会長……」
そういえば、生徒会長がイケメンってクラスの子が話ししていたような……確かにイケメンだけど、なんか違う。
「花の精が、生徒会長やっているんですか?」
「もー、花の精のことは忘れてくれって言ってるじゃないか」
男、改め生徒会長は、私の頬をつんと指でつつくので、はたき落とす。
「いやだから、忘れられないですって」
「うーん。困ったな」
会長は眉を下げるけど、私もたぶん、同じ顔をしている。
だって、花の精とか、そんな変な事聞いて忘れられる訳ないじゃん。
そもそも、花の精って本当?
凄いふざけた人って可能性もあるよね……でも、この人。
もう一度、会長の顔をよく顔を見る。
この人の顔は全部綺麗だけど、長いまつげに縁取られた、青い目。
その色は、空の色とも、海の色とも違う、鮮やかな青。
それは、とても綺麗で、人らしくない。



