「これかなーって言うのも?」
「一応、梅の木の逸話などは調べましたけど、私の特殊能力だと思うものはないですね」
「特殊能力が何なのか、確定させたく無いんですか?」
自分の能力が何か、怖かったり不安になったりしないのかな?
「そこまでは、興味ないですから」
自分の事なのに?
夢野先輩は特殊能力を奇跡にしたがっていて、千代田くんは特殊能力を嫌がっている。
みんな、特殊能力ってものを意識しているのに、鹿島先輩は特殊能力のことを全然気にしてない。
何でだろう?
さっき、花を褒めた時も嬉しがらなかったし、鹿島先輩も花の精なのに、みんなとはちょっと違う。
気になるけど、これ以上聞くのは失礼だよね。
「気になることがあるなら、聞いてくれて構いませんよ」
「え?」
鹿島先輩が私の心、読んだみたいに言うから驚いた。
「この先何年も、ずっともやもやしているのは嫌でしょう? 私も、何考えているか分からない人より、分かる人の方が良いですから」
……そこまで、言ってくれるなら。
「鹿島先輩が生徒会長になりたいって思っていたのは、花の特性ですか? それとも人としての感性?」
「梅の花言葉には忍耐とか、忠実とかあるんですが、私は実際そんな性格をしていると思うんです」
「そうですね。副会長の時の鹿島先輩は、会議の進行や細かい作業などしっかりしていて、真面目な人だなって思ってました」
「そうでしょう。だから、人の上に立ちたかったんです」
鹿島先輩は、ふわりと笑う。
恐ろしいくらい素敵に。……少し悲しそうに。
「私の元は梅の木で、花の精ですが、今は人の姿を持って居るので、人として生きたいんです」
そっか、鹿島先輩は、そういう考えの人なんだ。
「特殊能力が有るのは、花に囚われているって思ったんですか?」
「ええ、そうです」
「……鹿島先輩は、人になりたいです?」
「いまでも充分、人だと思って思いますよ」
笑った鹿島先輩を見て私は思った。
幸せそうだな。



