「いえ、来年度もこの学校で過ごしたいです」
理事長は私を、まっすぐ見つめる。
「貴方には今、多くの負担がかかって居ませんか?」
「クラスの空気が悪いのは、確かに嫌です。でもクラス替えするなら、別に良いです」
今は友達が居ないのも、他クラスには話しかけてくれる人も居るから、二年になったら友達もできると思うしね。
「生徒会活動は楽しいです。迷惑をかけてしまう時もありますけど、みんな優しくて、いい人達です。みんなの秘密だって、非日常的で面白いです」
私は、生徒会のみんなのことが好きだし、生徒会として頼られるのは嬉しいから、これからも生徒会でいたいのだ。
「この学校を嫌だと思ったことは確かにありましたが、今は違います。負担は無いです」
私が言い切っても、理事長はまだ、私をまっすぐ見続ける。
「聞くところによると、生徒会役員が貴方に人になりたいと伝えているようですが、それについてはどう思っていますか?」
えっ、これも聞かれるの⁉︎
ちょっと驚いたけど、理事長的には心配ごとなのか。
「驚きますけど、無理強いはして来ませんから大丈夫です。実際の恋と同じで、何か有るかもしれないけど、何も無いかもしれないので、気にしてはいません」
「そうですか……」
理事長は呟くと、先ほどは違う、優しい目で私を見た。
「花咲さんは、この学校が好きですか?」
「はい。全てを好きとはまだ言えないですけど、来年も通ってもっと好きになりたいです」
「分りました。来年度も宜しくお願いしますね」
「はい」
やった。理事長に認められた気がする!
「鹿島紅生徒会長」
理事長は鹿島先輩を見た。
「彼女を花園に案内してあげてください」
「彼女を? いいんですか?」
鹿島先輩は驚いた様子で理事長に尋ねる。
「ええ、これからも生徒会にいるなら後五年も有るんです。一人だけ知らないと不便な事もあるでしょうから、教えておいてください」
理事長の言葉に鹿島先輩は重々しく頷く。
「分りました」
「それでは、話は以上です」
理事長に礼をして、鹿島先輩と共に部屋を出る。
「緊張したけど、無事に終わって良かったです。……鹿島先輩、理事長が言っていた花園って何なんですか?」
「貴方も一度いったことある場所ですよ」



