「ごめんなさい、鹿島先輩。ご迷惑かけました」
「大丈夫ですよ。生徒会は話を聞くだけでしたので、後で共有しますね」
うー、やってしまった。
今日は文化委員と音楽祭の打ち合わせがあったのだけど、私はそれを忘れていてクラスの子の合唱練習に付き合っていたのだ。
今までクラスで空気となっていた私が、クラスの子に下手だから付き合って欲しいとお願いされたのが嬉し過ぎて、やらかした。
「本当に、ありがとうございます」
「いえ、ミスは誰にでもあることですから」
優しいな、鹿島先輩。
いつもこうだったのか、会長になって機嫌が良いからこうなのかは分らないのが、駄目だな。
前からもっと、話しておけばよかった。
「……理事長は怒っているんですかね?」
私と鹿島先輩は、今、理事長室に向かっている。
理事長は、さっきの音楽祭の打ち合わせに居て、鹿島先輩はそこで私を連れてくるように言われたらしい。
「たぶんですが、違うと思いますよ。怒っている様子はありませんでした」
それなら良かったけど、私を呼び出すなんて、何の用なんだろう?
「失礼します」
「失礼します」
鹿島先輩が先に入り、私も後に続く。
理事長室も生徒会室と同じで廊下とは雰囲気が違い、厳かな感じだった。
「花咲桜、前に」
理事長は相変わらずピシッとした雰囲気を持っていて、緊張してしまう。
「はい」
理事長と話すのは、あの日、温室で会って以来。
隣にいるのが、夢野先輩じゃないのが不思議だ。
「今日呼んだのは、貴方のこれからについての事です」
「はい」
返事はしたけど、私のこれから?
「花咲桜。貴方も、もうすぐ一学年の三学期も終わりを迎えますが、別の学校に転入する意思は有りますか?」
「え?」



