バレンタインを過ぎてから、生徒会の一年生メンバーみんなで、お昼を生徒会室で食べる事が多くなった。
鼓くんと影谷くんは、友達やクラスメイトに誘われることも多いので、毎日居るのは私と千代田くんだけだけどね。
今日は全員集まったので、四人で食べる。
「花咲とか龍のクラスって、合唱どんな感じなのー」
話題は音楽祭の事だった。
我が校の音楽祭は、一年が合唱、二年が楽器演奏、三年がクラスごとに選ぶ形式だ。
「私のクラスは、普通かな? 上手くもなく下手でもなく、それなり。自主練とかはしてないね」
もしくは、私が知らされてないか。
私を温室に閉じ込めて停学になっていた子達も、だいぶ前に戻ってきた。
あれからは、いじめられてはないけど、やっぱりみんなとは距離があるって感じ。
他のクラスの人との方がまだ喋ってる。
「俺のクラスは……」
そこまで言って千代田くんは黙ってしまう。
「熱心な人が多いんでしょ? 休みの日も練習有るって聞いたよ」
影谷くんの言葉に、千代田くんは頷く。
「休みの日もやっているんだ、大変だね。……千代田くんも歌っているの?」
千代田くんは首を横に振る。
「指揮者をしている」
「歌も効果が有るか分らないの?」
「ああ」
「そっか、歌う事もしてないんだ」
授業で歌う必要が有る時って、どうしているんだろう?
事情が事情だから、先生に何か説明して免除してもらっているのかな。
でも、それも大変だよね。
「いつか、呪いの言葉がどこまで、どんな風に効果あるか試したいね」
そしたら、もっと喋れるようになって、千代田くんも生きやすいかも。
良い案だと思ったのに、千代田くんは首を横に振る。
「試すのも危ないかもしれない」
「でも、今のままだと、何にも分らなくて凄い怖いから、ちょっと怖いくらいの方が良くない? 何か分って、この力も使えるって思ったらむしろ嬉しくなるかもしれないよ」
千代田くんは、首を横に振る。
そんな時は、きっと来ないって言うみたいに。
それが少し、嫌だと思ってしまった。
「喋ることが大事ではないけど、喋るのって楽しい。私のわがままだけど、私は千代田くんともっと喋りたい」
千代田くんは、困ったように眉を下げた。
「オレとか?」
彼は自信なさそうだったけど。
「うん、千代田くんと」
千代田くんと、ちゃんと話してみたい。
「……花咲が、そこまで言うなら」



