「オレ? オレは別に気にしてないよ?」
朝、いつも通りに私と生徒会長しかいない生徒会室で、夢野先輩は軽く言った。
「本当に? この前、生徒に信頼されているのが良いって言ってたじゃないですか」
疑う私をクスリと笑う。
「真の実力が出るかもと言っただろう?」
言ってたけど……
「桜ちゃんは、紅が会長で不満なのかい?」
「不満ではないです。……ただ、驚きと、会長が会長じゃ無くなっちゃったのが、変な感じがするんです」
私にとってこの学校の生徒会長は、会長なのだ。
私の胸の中にある、多分寂しいって気持ち。
そんなものを見透かすように夢野先輩はふわりと笑う。
「オレの役割は変わったけど、変わらず生徒会としての仕事をするから、寂しく思わないでくれ」
自分の事、分かられているのが恥ずかしい。
「むしろ、仕事が減って、桜ちゃんと奇跡を起こす為に使えるが増えた。そう思うと喜ばしいよ」
夢野先輩ってば、すぐ奇跡を起こすこと考えてる。
「私は、夢野先輩と奇跡起こす気ないですよ」
「それは、焦らなきゃいけないな。聞いたよ、告白されたんだって?」
「されてないですよ」
誰に告白された事になっているんだ?
「まずは、そうだな。会長から、青くんって呼ぶ所から、どうだい?」
「呼ばないです」
夢野先輩ってば、全然人の話聞いてない。
……でも、夢野先輩が会長じゃなくなったの気にしてないなら良かった。



