私が笑うと、鼓くんは顔を綻ばせる。
「ありがとう! わぁ、花咲から一番にチョコもらっちゃった! 大事に食べるね!」
こんなに喜んでくれるなんて、鼓くんの方が料理上手なのに。
「俺からもお返しだよ! ハッピーバレンタイン!」
そう言って鼓くんが渡してくれたのはトゥカンロンだった。
「あれ? 鼓くんマカロン作ってたのに、トゥンカロンになってる。いつのまに」
お花の形をしたピンク色のマカロンと、丸い形のチョコレート色のマカロンには、たっぷりとクリームが絞られ、アザラン、ドライフルーツ、チョコペンでデコられている。
「さっき、コーヒー淹れている間にこっそり作ったんだ」
「すごいかわいい!」
写真撮りたいなぁ。
でも、その前に。
「待たせちゃってごめんね。影谷くんもハッピーバレンタイン」
一つは、チョコペンでスズランを書いており、もう一つは絞られたバタークリームの上に、アザランとハートのカラーシュガーが乗っている。
「ありがとう! 僕も……」
影谷くんは嬉しそうに笑っていたのに、自分の作ったラスクを手にしようとして、止まってしまう。
「どうしたの?」
突然のことで心配になって、声をかける。
俯きぎみの影谷くんは、不安そうに呟いた。
「……僕のチョコ、本当にあげても大丈夫かな?」
あんな楽しそうに作ってたのに、渡すタイミングで改めて心配になったみたい。
鼓くんはなんで言うべきか、迷っていそうだった。
「影谷くん、作ったチョコ見せて」
私が言うと、おずおずと見せてくれる。
ハートや星、お花の形のデコレーションされたチョコラスクは、キラキラ輝いて見える。
「写真撮っていい?」
「うん、いいよ」
スマホで写真を撮る。
よく撮れたのを確認して、
「じゃあ、いただきます」
ラスクを一つを手に取り、食べる。
「うん。おいしい」
サクサクのラスクと、甘いチョコがいい感じだ。
カラースプレーやアラザンのデコレーションが、独特の食感になってて楽しい。



