「確かに、こっちのほうがおいしい。……たんぽぽっておいしいんだね」
私が言うと、今まで元気だった鼓くんが恥ずかしそうに顔を隠す。
「えー、たんぽぽがおいしいって言われるの、なんか恥ずかしいー」
「そうなの?」
「花の精、特有の感情かもねー」
少し手をずらしたところから見える顔は、赤く染まっていた。
「いいなぁ、僕もなってみたい」
「影谷くんは、なることないのか……」
「毒のある花だからね」
影谷くんは、寂しそうに笑う。
「……ちなみに、これはどう?」
鈴蘭の花を白のチョコペンで書いたカップケーキを見せる。
影谷くんにあげる予定で、こんなデザインにした。
「花咲さんが作ったやつ? 花咲さんが作ったものだから嬉しいけど、ちょっと違うかも」
「そっかぁ」
影谷くんにも、その気持ち味合わせてあげたかったな。
「でも、気持ちは本当にうれしいよ、ありがとう。これって、鈴蘭だよね? 僕がもらっていいの?」
「うん、もちろん! あ、ごめん、ちょっと待って」
影谷くんに渡す前に、鼓くんに二つのカップケーキを差し出す。
一つは、バタークリームで頑張ってたてがみを再現したライオンの顔のカップケーキ。
もう一つは、バタークリームを絞ったカップケーキに、アラザンと、チョコペンで書いたタンポポがのったカップケーキ。
「この前も今日も助けてくれてありがとう。少し早いけど、ハッピーバレンタイン」



