影谷くんが、お花や星、ハートの形のパンラスクを、チョコペンやアラザン、カラースプレーなどでデコっているのを見守る。
「上手、上手」
「本当?」
私が褒めると、影谷くんは嬉しそうに笑う。
手先が器用なのか、センスがいいのか、影谷くんは本当に上手にチョコラスクをデコっている。
完成されていくのを見守っていると、
ーーピピピッ
オーブンの終了音が鳴る。
「カップケーキ、焼き上がったかな?」
オーブンを開けると、チョコレート混じりの甘い良い香り。
カップケーキに竹串を刺すと、よく焼けているのを確認出来たので、ミトンで天板ごと持ち出す。
天板を台の上に置き、ミトンを脱ぐ。
粗熱を取っている間にバタークリームを作らなきゃ。
「花咲さん、見て! 上手く出来た!」
影谷くんがキラキラした目で、ハートの形にチョコペンで絵を描かれたラスクを見せてくれる。
本当に可愛いな。
「すごい、どんどん上手くなっている。私もクリーム作ったらデコるから、コツ教えてほしいな」
「うん! もちろん良いよ」
バタークリームを作るには、ボウルに入れた卵白と上白糖をかき混ぜながら弱火にかけなきゃいけない。
泡立て器は……あそこだ。
取ろうと手を伸ばして……
「あっつ!」
やばっ!
泡立て器は粗熱をとっている天板の奥に有ったんだけど、取れると思ってたら、袖を捲っていた腕が天板に少し触れちゃった。
「どうしたの!?」
「大丈夫?」
いきなり声を上げた私に、二人とも驚いて私を見る。



