バレンタイン数日前の休日。
私は今日、影谷くんと鼓くんとチョコレートを作ることになっているんだけど……
「え、ここで作るの?」
てっきり学校で作るもんだと思っていたけど、影谷くんが案内したのは学校からほど高い場所にある四階建てのマンションだった。
「うん。本当は学校の調理室を借りようかなって思っていたんだけど、他に使いたい生徒が居て、ここ、生徒会寮になったんだ。入口、こっちだよー」
「それって、私が入っても大丈夫なの?」
生徒会寮は、どこに有るかも見た目も生徒に知らされていないのに。
「大丈夫だよー。管理人さんにお話してあるから」
玄関の厳重なロックを開けてもらい、管理人さんに挨拶をすると、二階に通される。
「ここにミニキッチンが有るんだけど、ここの使用許可をもらったんだ!」
中には鼓くんがいて、道具や材料の準備をしていた。
「おはよう、鼓くん。準備してくれてたんだ、ありがとう」
「おはよー、花咲!」
鼓くんは、パッと明るい笑顔で挨拶してくれる。
「いいんだよー、材料もってきた?」
「うん」
私は持ってきた、カップケーキの材料をバックから取り出す。
一緒に作る事になってから、何を作るか話し合ったんだけど、渡したい相手が生徒会の人と被っているから、三人ともバラバラのものを作る方がいいんじゃない? となって、材料もそれぞれ持ち寄る事になったのだ。
「他の生徒会の人は居ないの?」
千代田くんとか、会長も居るかなって思っていたけど。
「三人は理事長に頼まれた仕事が有るから、今日は居ないよ。三人でがんばろうね!」



