「うん、僕が作るよ」
影谷くんが頷くと、
「それは……」
「止めといた方が良いんじゃないか?」
「わざわざ手作りじゃなくても!」
生徒会のみんなが慌て始める。
「みなさん、手作りチョコ嫌なんですか?」
「そういう訳じゃないんだけど……」
じゃあ、どうして止めるんだ?
理由が分らず首を傾げていると、影谷くんが拗ねたように言った。
「みんなは、僕が毒持ちだから心配してるんでしょ?」
「毒持ち?」
「鈴蘭の花には毒があるんだ」
へー、そうなんだ。初めて知った。
「そんな僕に料理して欲しくないんだよ。みんなは」
影谷くんは、むっと頬を膨らませる。
そんな影谷くんに、会長は気をつかいながら語りかける。
「鈴、気を悪くするかもしれないが、鈴蘭の花の毒は強いから、どうしても心配になるんだ」
「この姿になってからは、毒を分泌するような状況になったことないから大丈夫だよ。せっかく人の姿を持ったんだから、僕だって料理してみたい」
影谷くんは訴えかけるが、鹿島先輩も諭す。
「その結果、毒が混入したチョコレートが出来たら大変ですから、簡単には認められません」
「ちゃんと、気を付けるもん」
毒かぁ。
確かに料理作る人がそういう花の精だと心配になるかも。
でも、影谷くんが料理したい気持ちも分る。
この感じだと、一回もしたこと無さそうだから、凄く憧れるんだろうな。
「ねぇ、花咲さんはどう思う?」
私? 私はなぁ……
「私は、今まで人として生活している中で毒のような症状が出てないなら、気を付ければ大丈夫じゃない? って思っちゃうけど」
千代田くんがクロユリの強烈な匂いを受け継いでない辺り、花の精だからといって、元の花の全ての特性を受け継いでいる訳じゃないみたいだし。
「でも、心配な気持ちも分るから、料理上手な人の監修の元で衛生面に注意するって感じでやるとか?」
「なるほど。ねぇ、会長、花咲さんもこう言っている。僕、ちゃんと気をつけるから、僕にチョコ作りさせて!」
影谷くんのお願いに、会長は腕を組んで考え始める。



