「相談、乗り終わりました」
「お疲れ様。記録残したら、休憩していいよ。みんなも先に休憩してるから」
「はい」
私は席に戻ると、会長の指示通り、相談内容と助言した内容を記録する。
この前、生徒会として生徒に好かれる方法を相談してから、会長は生徒会に来た相談のいくつかを私に任せてくれることになった。
私の事が嫌で断る子も居るけど、私の噂を知っているだろうに相談してくれる子も居て、全ての人に嫌われているんじゃないと分って嬉しい。
あいさつ運動の時、前よりあいさつを返されているかも。
記録が終わったので、休憩に入る。
机の上のラックに置いておいた雑誌を捲る。
どうしようかな。
困った事に、二月も一週間過ぎたけど、まだどんなチョコを鼓くんにあげるか決めていない。
ボンボンショコラみたいなチョコそのもの系か、クッキーやケーキなどにチョコが使われているものか。
手作りか、既製品か。
うーん。
「花咲さん」
可愛らしい声に名前を呼ばれて顔を上げると、影谷くんが、誰も使ってない私の向かいの席から身を乗り出して、私の持つ雑誌を見ていた。
「花咲さんって、もしかしてバレンタインにチョコ作るの?」
「うーんと、今は手作りするかどうか悩んでいる所」
「そうなんだ~」
影谷くんがふわふわとした笑顔で笑うと、とっても可愛くて、やっぱり男の子なのが信じられない。
華奢な体も、ふわふわとした髪も、全部可憐だ。
花の精だから、男女差あんまりないのかな?
でも、影谷くん以外の生徒会役員の性別は間違える事無いから、不思議。
「ねぇ、もし良かったら、僕と一緒にチョコ作らない?」
胸の前に祈るように指を組み、首を傾げる。
いつもは大人しくて、控えめな彼が提案するのは珍しい。
「私と?」
影谷くんと私は、生徒会の中では一番話してない組み合わせだと思う。
「うん。僕、花咲さんともっと仲良くなりたいんだ。もうすぐバレンタインだから、一緒にチョコ作るのはどうかなって」
一緒にチョコ作りか……それ良いかも!
手作りするのなら、一人で家で作るよりも、わいわい人と作った方が楽しいしね。
私も影谷くんと仲良くなりたいし、「いいよ」って言おうとしたところで、
「えっ、鈴がチョコを作るの⁉」
鼓くんの大きな声で、私の声はかき消される。



