「何か悩み事かい?」
朝のあいさつ運動が終わり、教室に戻る前に会長に声をかけられた。
千代田くんは鹿島先輩に話しかけられているから、話しかけられているのは私だけ。
二人だけで話すの、久しぶりかも。
「悩んでいるように見えました?」
そんなに顔に出てたかな?
「ああ、桜ちゃんはいつも魅力的だけど、今日は少し雲隠ったように見えたんだ」
憂い顔の会長は、国を傾けられるほど美しい。
「別にたいしたことはないですよ。ただ少し、どうやったら人にすかれるんだろうって」
「オレは、桜ちゃんの事好きだよ」
微笑む会長の言葉にドキドキはしてしまうけど、
「今、求めているのはそう言うんじゃ無いです。生徒会の一人として、生徒のみんなに好かれたいんです」
「それなら、地道に活動して行くしかないね。意見を聞いて、要望を叶えて、相談に答える」
やっぱり、そっか。まぁ、地道に頑張るしかないか。
「オレだって、そうやって人に好かれていき、生徒会長に選ばれるくらいになったんだ」
……会長の言い方が少し不思議に思った。
「会長は、最初から人気者じゃなかったんですか?」
なんとなく、そんなイメージがある。
「勿論、顔が良いとはずっと言われていたけど、人として信頼されて言ったのは、生徒会として仕事をこなしていってからだよ」
「会長でも、そうなんですね」
「ああ、だから桜ちゃんもいろんな人と話をして、縁をつくっていくと良い」
「はい。頑張ります」
私の場合、印象はマイナスから始まっているかもしれないけど、いつか会長みたいに多くの人に信頼されるようになろう。
「ああ。そしたら、再来年度の生徒会長は、桜ちゃんかもね」
そっか、来年の生徒会選挙は、今の一年生が出るのか。
私がなる可能性もあるのか。
……今はちょっと、想像つかない。
「生徒会長って、楽しいです?」
「楽しいとは違うかもしれないが、私に任せてもいいと思われているのは、嬉しいものだよ。といっても、去年は、当時一年生のオレと紅しか居なくて、人気投票に近かったから、今年こそ真の実力が出るかもね」



