お礼って何が良いのかな?


先週、マラソン大会で迷子になった私を、会長と千代田くんが迎えに来てくれたけど、見つけてくれてのは鼓くん。

しかも、特殊能力で空を飛ぶって危険な状態で。

もちろん、鼓くんにしっかりとお礼は言ったけど、それだけじゃ足りない気がするから、何か渡したい。


でも、何を渡せばいいんだろう?


鼓くんって何が好きなのかなって彼を見るけど、いつも元気で、みんなに囲まれている人気者って事と、筆箱ライオン柄で、スクバにライオンのキーホルダーついているから、多分ライオン好きだってこと。

ライオングッズがいいのかな?



「花咲って、どうして、そんなにオレの事を見てるの?」


流石に見過ぎていたのか、放課後、生徒会室に着くと、直接聞かれてしまった。


「見てたの?」


私と一緒にいた千代田くんが、不審そうに尋ねる。


「うん。ごめんね鼓くん、見てたの気づいてた?」

「すっごい、気づいてた! 最初は我慢してたけど、流石に気になる!」

「ごめんね、この前のマラソン大会の時のお礼に、何か渡したいなって悩んたの」

「それなら、直接聞いてくれれば良いのに!」


鼓くんは、太陽のように笑う。

鼓くんは、会長みたいに華やかでも、千代田くんみたいに影有る感じのイケメンではない。

素朴で、どこにでもいそうで、だけど驚くくらい整っていて、いつも明るい表情なのが素敵な人なんだ。


「でも、お礼なんてしなくて良いよー。花咲、困ってたんだから!」


……そういってくれるのは有り難いけど、空をふわふわ浮いて大変だったよね。

私のせいなのに、申し訳無い。


そんなわたしの考えを感じとったのか、


「どうしても何かくれるってなら、チョコちょうだい!」


鼓くんは、無邪気に言った。


「チョコでいいの?」


そのくらいなら、全然良いけど。


「うん。もうすぐバレンタインだから!」


そういえば、そんな時期か。


「分かった。じゃあ、チョコ用意するね」


鼓くんに言うと、ブレザーの裾が横から引かれる。


なんだ?


そこにいた千代田くんを見ると、彼の目が俺も欲しいと言っていた。