落ち着いたら、一番最初に聞かなきゃいけない事を思い出した。


「会長、私の前にコースを外れた子は大丈夫ですか?」

「なんのことだい? 桜ちゃん以外に迷子の報告は受けてないよ」

「えっ? 私、コースを外れた子を追いかけて迷子になったんですけど」

「どこでだい?」


会長が地図を見せてくれるので、そこを指さす。


「そこか、特に報告は受けていないんだけどね。ちょっと待っていてくれ」


会長は、スマホで電話を始めた。


その様子を見ていると、また、ぎゅっと抱きしめられる。

今度は、千代田くんだった。


「千代田くん?」


彼は、何か言いたげだった。

でも、何も言わないのは、呪いを気にしているんだろう。


「心配させちゃってごめんね」


千代田くんは、首を横に振る。


「心配してないの?」


「心配は、した。でも、会長のが嬉しかった?」


その言い方……もしかして、拗ねてる?


「会長の方が嬉しかったとかはないよ。2人とも迎えに来てくれて嬉しかった」


千代田くんは嬉しそうにしたかと思ったら、暗い顔になる。


「どうしたの?」


抱きしめていたのを辞めて、私の両手を握った。


「ごめん。守るって言ったのに」

「迷子になったのは私のミスだから、気にしないで。それより、二人はどうやって私を見つけたの?」


自分でも、どこにいるのかわからないのに。

目撃情報が学校に届いたのかな?


「レオが」

「鼓くんが見つけたの?」


千代田くんは、言葉を選んでいるのか難しい顔をしている。


「紐結んで、ふわふわってして。双眼鏡使って探した」

「そんな危ない方法使ったの⁉」


千代田くんは頷く。


ふわふわって、鼓くんの特殊能力の空を飛ぶことだろうけど、どこに居るか分からない私を探すなら、結構長い時間飛んだよね。


「鼓くんは大丈夫なの? 降りる時とか」

「ふわって降りれるから」


大丈夫だったぽいけど、後でちゃんとお礼言わなきゃ。



「二人とも、帰るよ」


電話を終えた会長は疲れた顔をしていた。


「迷子の子は?」

「迷子の子は居なかったよ」


迷子になった子が居ない?

じゃあ、私が見たあの子って?




後に学校側が聞き取りをすると、私が生徒会に入った事を不満に思った、私に追いかけるように言った子と、あの足の速い子が、私を困らせようとあんな事をしたと分かった。


やられたことはむかつくけど、迷子の子がいないならいっか。

二人が迎えに来てくれたから、学校に帰れたしね。