「桜ちゃん!」
汗をかき髪も乱れている会長は私の前まで走ってくると、座っている私の両肩を支えるようにつかんだ。
「ケガはないかい!?」
とても真剣な顔だった。
走るのには邪魔だったのか長い髪を結んでいる千代田くんは、ぎゅっと私の手を握った。
「花咲」
それ以上、言わないけど、彼の目からは心配していたことが伝わる。
迎え、来てくれたんだ。
なんでかな、二人に会えて私は泣きそうだった。
「どうしたんだい。どこか痛いのかい?」
喋らない事を不審に思っているのか会長は心配そうに尋ねる。
「いえ、迎えに来てくれたのが嬉しかったんです」
「すまないね、心細い思いをさせちゃって」
会長はぎゅっと私を抱きしめた。
汗をかいているのに、とってもいい香り。
人じゃありえない。
だからか凄く、安心した。
本当に、会長が迎えに来てくれたんだ。



