「あれ、二人一緒に来たの?」
放課後になって、千代田くんと生徒会室に行くと、鼓くんが驚いていた。
「仲良くなったんだね!」
お昼の時に守るって言った千代田くんは、昼休みはギリギリまで側にいて、SHRが終わると、すぐに迎えに来てくれた。
「意外だなー。龍って、人に近づかれたくないタイプなのに、そんなに近くにいるなんて」
「え、千代田くんって人に近づかれるの嫌なの?」
今まで、そんな様子を見せることは特になかった。
「龍、話して良い?」
鼓くんが聞くと、千代田くんは頷く。
「龍ってね、クロユリがあまり良くない香りがするから、自分の香りを気にして人を近づけないの」
「そうなんだ」
千代田くんの側に寄ってみる。
「むしろ、良い香りな気がするけど」
「花の精だからねー」
鼓くんは笑顔で話しているけど、千代田くんは顔が暗い。
「どうしたの?」
「俺が人になった時……」
香りのことを気にしているのかな?
「もしそうなっても、花の特性も無くなっているんじゃない?」
「なら良い。俺は、人になる。そのためには花咲が必要」
千代田くんはじっと、私を見る。
「わー、かいちょーに続き、龍も⁉ 花咲、モテモテだね!」



