朝、HRの時間に合わせて、生徒会室から教室に移動したときから、なんか、変だなとは思っていた。

いつもより、クラスメイトに避けられているような、見られている気はしていたし、休み時間のたびに他クラスの人が来ていたし。


昼休み。

なんか変なのは、嫌な予感がするから、急いでカバンを持って教室を出ようとする。

その前に、


「生徒会に入った女居る?」
 

そう言って、私のクラスに別クラスの女子がやって来た。

彼女の言葉にクラスのみんなが私を見るから、別クラスの女子も私を見た。

私は一歩前に出る。


「私ですけど、何か?」


彼女は、ハデな髪とバッチリとした化粧の、気の強そうな表情の子だった。


「ふーん、あんたが生徒会入ったっていう奴?」

「はい」


あー、今日なんか変な感じだったのはこれか。生徒会入ったって噂になってたんだ。

生徒会のみんな、イケメンだもんね。
女子から好意的じゃない視線をもらうのも分る。


「あんたさ、どうやって生徒会に入ったの?」


どうやって?
……会長の秘密を知ったからだけど。


言えない事なので、取り繕う。


「理事長から、直々にお話をいただいて」

「あんたって、なんで生徒会に入ったの? 男しかいないって知ってたよね」

「知らなかったですよ」

「でも、今は知っているでしょ。それなのに辞めないんだ」


私を見る彼女の目と声には、悪意とか敵意がある。


生徒会の誰かのこと、好きなのかな。


「それはなんで? 男好きなの?」

「違いますよ。お昼を食べたいので、もう失礼していいですか?」


面倒だから切り上げようとしたけど、彼女をイラつかせるだけだった。

「チッ」と舌打ちをされ、さっきより鋭く睨まれる。


「いいわけねえじゃん、さっさとやめない理由いいなよ」

「理事長に頼まれたからですよ」

「あんた、理事長に頼まれたら、万引きだってするの?」

「しないですけど」

「それと、同じじゃん。いやだったら、断るでしょ、普通は? でも、断んないってことはなんか目的とかあるんでしょ?」


面倒くさいなぁ。

何を言っても、彼女はじくじくと絡んでくる。

いつの間にか集まった他のクラスの人達も沢山見てる。

もう、内申点目当てとか言っちゃえばいいかな。


「黙ってないで、なんか言ったら?」


彼女が一歩前に出た時、


「何してるの?」


彼女の後ろから、声がかかった。