言いたいことはあるけど、今言っても無駄な気がするので諦める。
「千代田くんは、人間になりたいの?」
「ああ、人間になりたい」
いいよ、この調子で喋ってほしい。
「人間になりたいんだ。それは、なんで?」
今度は、黙られる。
これは、駄目か……
千代田くんの喋る所と喋らない所のラインが分らないな。
「千代田くんが人間になるには、相手が私じゃないと駄目なの?」
今まで関わった事ないのに。
「花咲は、俺が花の精だと知っている」
「それが良いんだ?」
今度は、頷かれた。
答えてくれたのに、聞いたのには頷くんだ。喋るんじゃ無くて。
「纏めると、千代田くんは人間になりたくて、相手は花の精だと知っている人が良いんだね?」
頷かれる。
うーん。人になりたいか。
「今の私は、千代田くんのこと、人間にするよとは言えないかな」
千代田くんは、しゅんとしたように肩を落とす。
「そんなに人になりたいの?」
「ああ、なりたい!」
人になりたいって事は、ハッキリ言うんだな。
「どうしてなりたいのか、もっと詳しく話して欲しいんだけど、話すのは無理?」
少し悩んだ後、頷かれる。
「じゃあ、誰かに聞いても良い? 会長とか?」
「副会長なら……」
「じゃあ、鹿島先輩に聞くね」



