「それで、奇跡を起こすことと、女性に振られることの何が関係するんですか?」
さっき、奇跡が起きなかったって言っていたけど、振られるのに奇跡とか関係するもの?
告白する時ならともかく、奇跡が起きなくて振られるって何?
「振られる部分は、関係無いよ。大事なのは、愛し合うことさ」
会長は、至極真面目な顔をして語る。
「花の精は人と愛し合う事で、人になれるって言われているんだけれど、それは奇跡のようなもので実在性も疑わしい。でも、だからこそ、それを起こせたなら、正に奇跡じゃないか!」
会長は、楽しそうに笑うけど、よく分からない。
「人になれるって、会長、今でも充分、人ですよ?」
これ以上、何か変わるところが有るの?
「人になるとね、さっき言った三つの特徴が有るだろう? それが、無くなるらしいんだ」
「三つの特徴が有っても、困る事なさそうですけど、会長は、人になりたいんですか?」
「オレの場合は、人になりたいってより、奇跡を起こしたいんだ」
会長はソファから立ち上がると、ソファに座る私の側で片膝を付き、私の手を取った。
その姿は、まるで、プロポースするみたい。
いつの間にか生徒会室に来ていた、鼓くんと影谷くんが、向こうの方から、きゃーきゃー言っている。
「桜ちゃん、オレと愛し合ってみないかい? オレと奇跡を起こそう!」
会長の青い目がじっと私を見つめ、ニコリと笑いかけられる。
とってもイケメンな人に、初めてこんな事を言われた。
でも、ドキドキよりも怒りが勝つ。
「嫌ですよ」
だって、会長の言っていることって、好きじゃないけど、奇跡起こしたいから付き合ってってことじゃん。
そんなの、嫌すぎる。



