「特殊能力?」
なんか一個だけ、方向性が違くない?
瞬間移動出来たり、火を操れたりするの?
「自分の元になった花の特徴や逸話に関する能力が使えたりするんだよ。分りやすいのは、うちの書記の鈴だね。鈴は泣くと、涙が鈴蘭になるんだ」
「それって……特殊能力なんですか?」
思っていたのと違うかも。
涙が鈴蘭になるって、使いどころが無さそうというか、人として生きるには不便そう。
「人には出来ない事だから、特殊能力としているよ。とにかく、花の精とはそんな風に特殊能力が使えるんだけれど、オレの場合は奇跡を起こせるって事なんだと思うんだ」
……思う?
「思うって事は、確定はしていないんですか?」
「ああ。まだ、特殊能力だと思えるものがオレにはないんだ。だから、奇跡を起こせると思っている。青いバラの花の精のオレらしいし、奇跡ってのはそう簡単に起きるものじゃないだろう?」
「それは、そうですね」
奇跡がいっぱい起きたら、奇跡とは呼べなくなるし、青いバラは「奇跡」という花言葉を持っているのは事実だ。
昨日、青いバラってものをちょっと調べてみた。
原種のバラには青の色素が無くて、青いバラは無かった。
だから、花言葉は「不可能」だったけど、研究により青い色素を見つけ、青いバラが生まれ「奇跡」という花言葉が出来たと。
会長の特殊能力が奇跡だと思うのは、可笑しくないと思う。でも……



