「よし、これで自己紹介終わり! って言いたいところだけれど、まだじゃないかな?」


会長が喋り出し、彼を見る。

四人とも顔が整っているけど、会長って、やっぱりイケメンだな。


「……あと、何か話す事有りましたっけ?」

「桜ちゃん、キミはオレのクラスと、オレが何の花かを知ってるかい?」


会長が何の花か……


「そういえば、知らないです。会長も何か決まった花の精なんですね」


花の精って聞いてたから、花全部の精かと思っていた。


「そうだとも。キミは、オレがなんの花だと思う?」


会長は、悪戯に笑う。


「そうですねー。みんな、髪色が元となった花と同じ色みたいだから、薄い青紫の花……青紫の花って有ります?」


ちょっと考えても、思いつかない。


「有るよ! 滅茶苦茶有るから、もっと考えてみてくれ!」


うーん、私あんまり花に詳しくないんだよね。


「ネモフィラはもっと青だし、ラベンダーとか藤なら、もっと紫ですもんね。青紫、青紫……やっぱり思いつかないです」

「思いつかないか。なら、正解を知りたいかな? ヒントでも良いよ」

「ヒントはいいんで、正解知りたいです」


先輩の髪色みたいな、薄い青紫の花ってなんだろう?


「桜ちゃん、キミは、そんなにオレの事を知りたいのか、しょうがないな。正解は、青いバラだよ!」


満面の笑顔の先輩の髪を見る。


「青いバラ?」


それにしては、紫っぽい気がする。


「青いバラってのは、奇跡のバラなんだよ。知らないのかい⁉︎」

「なにか、難しいのは知っていますけど、詳しくは知らなかったです。そんな色なんですね。それこそ、会長の瞳みたいな青色かと思っていました」

「オレもこんくらい青色になりたいけどね。改めて自己紹介するよ、青いバラの精、夢野青! 二年一組で生徒会長! 奇跡を追い求めるものさ!」


会長は、ぴしっとどこかを指さした。


「会長って、二年生なんですね」

「そうだよ。まだ高等部進学しないから、春になっても寂しくないね」


優しく笑う生徒会長に、私も笑みがこぼれる。


「そう、ですね」



会長と出会い、秘密を知って、生徒会に入る。

どれも想像していなかったことだけど、生徒会のみんなのおかげで、本当に寂しくない学校生活が始まった。