「こんにちは、花咲さん。私は、鹿島 紅。二年六組、生徒会副会長。梅の精です。宜しくお願いします」
「よろしくお願いします。鹿島先輩」
私が頭を下げると、鹿島先輩は頷き、黒髪の彼を見る。
「次の自己紹介、私が代わりにしますが、それでいいですか? 千代田」
鹿島先輩の言葉に、黒髪の彼は頷いた。
彼もまたイケメンだ。
ミステリアスで、触れるのを憚れる雰囲気を持っている。
前髪は長く目にかかっており、後ろは二の腕くらいの長さの髪を一つに結んでいるのも、怖さもあるミステリアスな雰囲気の一員なのかも。
「黒髪の彼は、千代田 龍。訳あってあまり喋りませんが、喋れない訳ではありません。クラスは一年二組の、生徒会会計。クロユリの精です」
「クロユリ?」
黒い百合ってこと?
「クロユリと百合は、ただの色違いじゃなくて種として違うんだ。ユリ科ではあるから、想像しているような見た目では有るけどね」
首を傾げていると会長が補足してくれる。
「そうなんですね。ごめんなさい、あまり花に詳しくなくて。よろしくお願いしますね」
私が頭を下げると、千代田くんもぺこりと頭を下げる。
雰囲気怖いけど、悪い人ではなさそう。
「会長の事は、知っているんだよね。なら、ボクが最後だね」
肩までの白い髪をフワリと揺らし、スラックスの履いた彼女が喋る。
緩やかに微笑んだ姿は、とても可憐で、多くの人が守りたいって思うだろう。
「ボクは、影谷 鈴。一年五組で、生徒会では書記をしているよ。ボクの元になった花は鈴蘭で、だからこんな見た目なんだろうけど、これでも男だからよろしくね」
「えっ! 男!?」
驚きすぎて、目が点になってしまう。
「そうだよ。見えないでしょ、よく言われるんだ」
ふにゃって笑った姿は、やっぱり女の子にしか見えない。
「う、うん。ごめん、凄く驚いちゃって。よろしくね」
「気にしなくていいよ。よろしくね」
影谷くんは、ふわふわ笑う。
……影谷くんが男の子だなんて、今日一番驚いたかも。



