図書館で本を一冊借りる。
カウンターの時計を見ると、いい時間だった。
会長に、生徒会メンバーに多少は説明しておきたいから、SHRが終わって十五分程経ってから来て欲しいと言われていたのだ。
図書館を出て、南校舎の一階にあると教えられた生徒会室を探す。
生徒会室って、なんとなく三階とか高い場所にあるイメージだったから、一階ってなんか違和感。
五時間目の授業が終わったタイミングで、私は教室に戻った。
クラスの子達は何も知らないから、それだけじゃ不思議そうにはしてなかったけど、六時間目にいきなり五人も居ないのには驚いていた。
私のことを「体調不良だ」って、彼女達が先生に伝えていたのか、さっき私が居なくて、今は彼女達が居ないのは、何かあるって思われたみたいで、ちょっとざわざわしていた。
直接、聞いてくる子は居なかったけど。
SHRの時間にも彼女達が戻ってくることはなく、顔を合わせて気まずいって事は無くて良かった。
「桜ちゃん。こっちだよ!」
南校舎の一階まで行くと、会長が笑顔で手を振っていた。
「すみません待たせましたか?」
走らない程度に急いで駆け寄る。
「いいや、大丈夫。桜ちゃんを待つのは、三秒だって、三年だって変わらないさ」
「流石に変わると思います。後、桜ちゃんって何ですか? そんなに親しい仲でしたっけ?」
さっきまではずっと、キミって呼ばれてたのに。
「同じ生徒会メンバーなんだ。仲良く行こうじゃないか! 桜ちゃんも、青くんって呼んでくれてかまわないよ」
パチンとウィンクする会長はイケメンなんだけど、さっきみたいなドキドキは感じない。
なんか、残念な雰囲気なんだよね。
「生徒会室ってここですか? 中の人待たせるの悪いんで、行きましょう」
「桜ちゃんはスルーするのが得意だね」
会長は笑いながら、学校の校舎にあるとは思えない、深い茶色の両開きの扉を開ける。
「ようこそ、生徒会へ!」



