神殺しのクロノスタシス7〜前編〜

――――――…時は、少し遡る。

ジュリスとベリクリーデは、その持ち前の勘と運の強さで。

あっさりと、しかもアジトの真正面から侵入に成功していたが。

俺とシルナは、当然、そう簡単には行かず…。

「…本当に、この道で合ってるのか…?」

「大丈夫大丈夫。エニスちゃんのくれた地図に、ちゃんと書いてあるから」

「…あ、そ」

じゃあ…信用して良いんだよな。

…それにしても。

「…鼻が曲がりそうだな…」

「…うん…。…今ばかりは、チョコを食べる気にならないや…」

今、俺とシルナが歩いているのは、下水道である。

ジャマ王国の地下に広がる、狭くて汚く、そして鼻が曲がりそうに臭い下水道。

…地図によると、この下水道が『アメノミコト』のアジトの隠し通路に繋がっているらしいのだ。

そこで、マンホールの蓋を開けて、そろりそろりと降りてきた訳なのだが。

…如何せん、下水の匂いで鼻が曲がりそう。

…うぇ。

「うぅ…辛い…」

これには、シルナも辟易。

「あぁ…。加齢臭を放つシルナよりキツいな…」

「えぇぇ!?私は大丈夫だよ!爽やかなチョコの香りだよ!」

誰が爽やかだって?

「臭くない…。臭くないもん…」

涙目になってんじゃねーよ。

「つまんないこと言ってないで、早く行くぞ」

「つまんないことって何?重要なことだよ!」

良いから。

早く行かなきゃ、俺達の髪にも服にも、すべてに下水の匂いが染み付いてしまう。

…そのまま、暗くて臭い下水道を、15分ほど進んだ後。

「…おっ…」

突然、天井が高くなった。

上に向かって、古びた縄梯子がかかっている。

…どうやら、ここから上に上がれるようだ。

そして地図によると、この上が…。

「ここが…『アメノミコト』のアジトに通じる隠し通路、だな」

「そうだね…」

やっと着いたぞ。

待ってろよ、令月、すぐり。そしてナジュ。

今行くからな。

「でも…この梯子、大丈夫かな…?」

シルナが、不安そうに口にした。

「は?」

「だって…凄くボロボロだよ。落っこちたりしないかな…?」

「…」

突然、不安になることを言い出すんじゃねぇよ。