日和が営業部に正式に配属されてから1年が経ったのを機に、7月からパブリッシング事業部への異動が決まった。
出版社に営業に行った日和が先方に提案した案が喜ばれ、ぜひ宇野さんの手で進めてほしいと言われたのがきっかけだった。
「ひよちゃんがついに我がパブリッシングへ!ああ、めちゃくちゃ嬉しい」
4人で集まったいつもの居酒屋で、椿はご機嫌でビールを飲む。
「ひよちゃん、次はうちのデジタルソリューションにも来てくれよな」
慎一の言葉を笑顔でかわす日和の隣で、日向は仏頂面を隠さない。
「おい、日向。ひよちゃんが異動になって寂しいのは分かるけど、うちに帰ればいくらでも会えるだろ?」
「違うわよ、慎一。ひよちゃんが目の届かないところに行って、誰かに言い寄られるのが心配なのよ。ね?日向」
言い当てられて、日向は無言を貫く。
「大丈夫よ、日向。私がひよちゃんから目を離さないでおくから。誰かがひよちゃんにアプローチしてたら、あとでちゃんと日向にも報告するね」
「いや、その前に止めろよ!」
「あはは!マジで焦ってるね」
「当たり前だろ!」
グイッとビールを煽る日向に、椿と慎一はやれやれと肩をすくめた。
「1年前の日向のセリフを思い出すわ。面倒くさい、無理、そこまでして恋愛する気ないって言ってた日向が、今やひよちゃんにべた惚れの愛妻家。いやー、人生何があるか分からないわね」
「確かに。俺も同窓会で高校時代のマドンナに玉砕覚悟で告白したら、まさかのOKでさ。秋に結婚することになったんだ」
ええー!?と皆で一斉に驚く。
「そうだったのか、やったな慎一!」
「おう、ありがと。日向に勇気もらったおかげだよ」
「そうか、めでたいな。結婚式には呼んでくれ」
「もちろん。ひよちゃんも椿もな。って、椿?どうかしたか?」
さっきまで饒舌だった椿が、うつむいて神妙な顔をしている。
「私、決めた。私からプロポーズする!」
は?と3人で固まっていると、椿はパッと顔を上げた。
「いつまでも待ってるばかりじゃだめね。同棲生活が長引いて、だらだら毎日が過ぎてたけど、けじめつけるわ!」
「椿さん、かっこいい。応援してます!」
「ありがとう、ひよちゃん。やってやるわよー」
気合い充分の椿に気圧されつつ、日向と慎一も「がんばれ」と拳を握って見せた。
出版社に営業に行った日和が先方に提案した案が喜ばれ、ぜひ宇野さんの手で進めてほしいと言われたのがきっかけだった。
「ひよちゃんがついに我がパブリッシングへ!ああ、めちゃくちゃ嬉しい」
4人で集まったいつもの居酒屋で、椿はご機嫌でビールを飲む。
「ひよちゃん、次はうちのデジタルソリューションにも来てくれよな」
慎一の言葉を笑顔でかわす日和の隣で、日向は仏頂面を隠さない。
「おい、日向。ひよちゃんが異動になって寂しいのは分かるけど、うちに帰ればいくらでも会えるだろ?」
「違うわよ、慎一。ひよちゃんが目の届かないところに行って、誰かに言い寄られるのが心配なのよ。ね?日向」
言い当てられて、日向は無言を貫く。
「大丈夫よ、日向。私がひよちゃんから目を離さないでおくから。誰かがひよちゃんにアプローチしてたら、あとでちゃんと日向にも報告するね」
「いや、その前に止めろよ!」
「あはは!マジで焦ってるね」
「当たり前だろ!」
グイッとビールを煽る日向に、椿と慎一はやれやれと肩をすくめた。
「1年前の日向のセリフを思い出すわ。面倒くさい、無理、そこまでして恋愛する気ないって言ってた日向が、今やひよちゃんにべた惚れの愛妻家。いやー、人生何があるか分からないわね」
「確かに。俺も同窓会で高校時代のマドンナに玉砕覚悟で告白したら、まさかのOKでさ。秋に結婚することになったんだ」
ええー!?と皆で一斉に驚く。
「そうだったのか、やったな慎一!」
「おう、ありがと。日向に勇気もらったおかげだよ」
「そうか、めでたいな。結婚式には呼んでくれ」
「もちろん。ひよちゃんも椿もな。って、椿?どうかしたか?」
さっきまで饒舌だった椿が、うつむいて神妙な顔をしている。
「私、決めた。私からプロポーズする!」
は?と3人で固まっていると、椿はパッと顔を上げた。
「いつまでも待ってるばかりじゃだめね。同棲生活が長引いて、だらだら毎日が過ぎてたけど、けじめつけるわ!」
「椿さん、かっこいい。応援してます!」
「ありがとう、ひよちゃん。やってやるわよー」
気合い充分の椿に気圧されつつ、日向と慎一も「がんばれ」と拳を握って見せた。



