恋愛日和〜真逆の二人が惹かれ合うまで〜

結婚式の1ヶ月後。
日和と日向は、望美が働くフラワーショップに来ていた。

日和が望美からフラワーアレンジメントを習う横で、日向がゴンさんに結婚式の写真を手渡す。

「ひゃー、俺のこの顔!モアイ像か?」

すると、どれどれ?と望美も写真を覗き込んだ。

「あはは!確かに。どこ見てんの?ってくらい視線が遠いわね」
「俺、この時の記憶がほとんどないわ。ひよに引っ張られて歩いてた感じ」
「ちょっと!エスコート役が引っ張られてどうするのよ?」

日和が隣でふふっと笑う。

「でもゴンさんに一緒に歩いてもらって、私も嬉しかった。ありがとね、ゴンさん」
「おう!俺もひよちゃんと佐野さんの幸せな姿が見られて感無量だったよ。これでイメージトレーニングはバッチリ!望美、いつでも大丈夫だぞ」

話を振られた望美は、気まずそうに横を向く。

「ま、取り敢えず心づもりだけしておいて。予定は未定だけど」
「おっ?彼氏いないのか。良かった良かった」
「なんで良かったなのよ?」
「娘に彼氏が出来たら、やっぱり平常心ではいられんからな。まずはお友達から紹介してくれ」
「はっ!?幼稚園児じゃないんだから」
「そう言えば幼稚園で仲良かったゆうくんはどうした?」
「どうもしないわよ!まったく、子ども時代で時が止まってるんだから」

そうだな、とゴンさんはしみじみと呟く。

「これから少しずつ、望美との時間を動かしていきたい。ようやく再会出来たんだから」
「お父さん……。私もよ。この間実家に帰って話したの、お父さんと偶然再会したこと。お母さんも新しいお父さんも驚いてたけど、最後には良かったねって言ってた。私を育ててくれた二人には感謝してるけど、やっぱり心のどこかで、お父さんと引き離されたことがわだかまりになってたの。それがようやく解けた気がする」
「望美……」

静かに語り合う親子の会話を、日向も日和も黙って聞き入る。

(家族の絆って、こんなにも深いんだな。大切にしていこう、日和との絆も)

日向は心の中でその思いを強くしていた。