恋愛日和〜真逆の二人が惹かれ合うまで〜

「ああ、緊張するなー。右手と左足が一緒に出たらどうしよう」
「お父さん、それが普通だから」
「えっ、そうだったか?」
「もう、しっかりしてよ」

披露宴が始まる前の控え室で、ゴンさんと望美の会話を聞きながら、日向は日和と顔を見合わせて微笑む。
15年ぶりに再会したとは思えないほど、二人は自然な親子の会話を交わしていた。

「望美ちゃん、お父さんお借りしちゃってごめんね」

日和がそう言うと、望美は笑顔になる。

「ううん、私もひよちゃんとお父さんの晴れ姿を見られるなんて嬉しくて!お父さん、私の時はバージンロードを一緒に歩いてよね?」
「望美……。うううっ……」

涙腺が決壊したゴンさんに、望美は笑って肩を叩く。

「娘が二人もいて幸せね、お父さん」
「ほんとだよ。ありがとな、望美、ひよちゃん」

真っ赤に目を腫らしたゴンさんの背中を押して、あとでね!と望美は控え室を出て行った。