「宇野、出かけるぞ」
「はい!」
7月になり、変わらず日向は日和と行動を共にして仕事をしていた。
「今日は電話でアポを取った新規のクライアントだ。ここから仕事に繋げられるかどうか、今日のプレゼン次第だな」
「はい。あらゆる場面を想定して資料を作っておきました」
「分かった。まずは俺が先方と話をするが、何かあれば宇野もいつでも提案して構わない。二人で協力していい方向に持っていこう」
「かしこまりました。精いっぱい努めます」
二人で打ち合わせをしてから、電車で移動する。
今回初めて訪問するのは、誰もが知る有名アパレルブランドのECサイト担当部署だった。
最寄り駅で電車を降りると、日向は頭の中に入れておいた地図を思い出しながら歩き、その後ろをスマートフォンをぐるぐる回しながら日和がついて行く。
迷うことなく、すんなりと先方の自社ビルに到着した。
ガラス張りのエントランスで受付を済ませると、カジュアルなファッションながらスマートに着こなした男性スタッフが現れる。
挨拶して名刺を交換すると、会議室に案内された。
日向は、早速話を切り出す。
「オンラインショップを利用するカスタマーの懸念事項といたしましては、やはり実物との違いではないでしょうか?商品が手元に届いてみると、思っていたのとは違った、というのが返品の理由として挙げられるかと。商品の素材やサイズは表記出来ますが、色味は明確に説明出来ませんし、カメラの性能や光の影響などによって本来の色調そのままに写真にするのも困難です。ですが弊社にお任せいただければ、そういった点は大きく改善されます」
「え、それってどうやって?毎回プロのカメラマンに頼むとか、難しい技術が必要とかだと、うちは低価格がウリのブランドだから無理だよ」
「ご心配には及びません。ただ今、詳しくご説明いたします」
日向が目配せすると、日和は資料をテーブルに置いて説明を始めた。
「弊社は独自の色基準をデータ化し、撮影環境に左右される画像データの色を補正するソフトウェアを開発いたしました。これは医療機器にも取り入れられているほど、正確性の高い技術です」
「へえ、すごいね」
「はい。撮影していただいた画像データを弊社独自のカラーデータと照合して自動的にプロファイリングし、補正後の画像を画面に表示させます」
話の流れに合わせて日向がパソコンを操作し、実際に画像の補正をやってみせる。
「ふうん、これなら今までと変わらない撮影方法でいいんだよね?あとはこのソフトに任せれば」
「おっしゃる通りです。導入される際には、軌道に乗るまで弊社の担当者がお手伝いさせていただきます」
「なるほど、いいね。ちょっと試験的にお願いしてみようかな。まずは数ヶ月だけやってみてもいいですか?」
「もちろんです。実際にお試しいただいてから、改めてご検討ください」
「分かりました。では早速うちでも話を通しておきますね。近々こちらからご連絡いたします」
「はい!ありがとうございます」
日向と日和は、深々と頭を下げた。
「はい!」
7月になり、変わらず日向は日和と行動を共にして仕事をしていた。
「今日は電話でアポを取った新規のクライアントだ。ここから仕事に繋げられるかどうか、今日のプレゼン次第だな」
「はい。あらゆる場面を想定して資料を作っておきました」
「分かった。まずは俺が先方と話をするが、何かあれば宇野もいつでも提案して構わない。二人で協力していい方向に持っていこう」
「かしこまりました。精いっぱい努めます」
二人で打ち合わせをしてから、電車で移動する。
今回初めて訪問するのは、誰もが知る有名アパレルブランドのECサイト担当部署だった。
最寄り駅で電車を降りると、日向は頭の中に入れておいた地図を思い出しながら歩き、その後ろをスマートフォンをぐるぐる回しながら日和がついて行く。
迷うことなく、すんなりと先方の自社ビルに到着した。
ガラス張りのエントランスで受付を済ませると、カジュアルなファッションながらスマートに着こなした男性スタッフが現れる。
挨拶して名刺を交換すると、会議室に案内された。
日向は、早速話を切り出す。
「オンラインショップを利用するカスタマーの懸念事項といたしましては、やはり実物との違いではないでしょうか?商品が手元に届いてみると、思っていたのとは違った、というのが返品の理由として挙げられるかと。商品の素材やサイズは表記出来ますが、色味は明確に説明出来ませんし、カメラの性能や光の影響などによって本来の色調そのままに写真にするのも困難です。ですが弊社にお任せいただければ、そういった点は大きく改善されます」
「え、それってどうやって?毎回プロのカメラマンに頼むとか、難しい技術が必要とかだと、うちは低価格がウリのブランドだから無理だよ」
「ご心配には及びません。ただ今、詳しくご説明いたします」
日向が目配せすると、日和は資料をテーブルに置いて説明を始めた。
「弊社は独自の色基準をデータ化し、撮影環境に左右される画像データの色を補正するソフトウェアを開発いたしました。これは医療機器にも取り入れられているほど、正確性の高い技術です」
「へえ、すごいね」
「はい。撮影していただいた画像データを弊社独自のカラーデータと照合して自動的にプロファイリングし、補正後の画像を画面に表示させます」
話の流れに合わせて日向がパソコンを操作し、実際に画像の補正をやってみせる。
「ふうん、これなら今までと変わらない撮影方法でいいんだよね?あとはこのソフトに任せれば」
「おっしゃる通りです。導入される際には、軌道に乗るまで弊社の担当者がお手伝いさせていただきます」
「なるほど、いいね。ちょっと試験的にお願いしてみようかな。まずは数ヶ月だけやってみてもいいですか?」
「もちろんです。実際にお試しいただいてから、改めてご検討ください」
「分かりました。では早速うちでも話を通しておきますね。近々こちらからご連絡いたします」
「はい!ありがとうございます」
日向と日和は、深々と頭を下げた。



