恋愛日和〜真逆の二人が惹かれ合うまで〜

「日向さん、ごちそうさまでした。お料理もクリスマスケーキも、とっても美味しかったです」
「それなら良かった」

レストランを出ると、日向は日和の肩を抱いてエレベーターに乗る。
客室のある15階で降りると、日和がキョトンとした。

「日向さん、もしかして酔ってる?」
「酔ってないよ」
「でもここ、ロビーじゃないよ?」
「お、日和も酔ってないんだな。そう、ロビーじゃなくて客室に行くんだ」
「え、どういうこと?」
「ん?サンタさんからのプレゼント」

そう言って日向は、ピッとカードキーをかざしてドアを開ける。

「どうぞ」
「ほ、ほんとに?日向さんって、サンタさんにもなれるんだ!」
「ははっ!そうだな、日和の為なら何にだってなるよ。ほら、入って」
「はい、お邪魔します。わー、素敵なお部屋ね。見て、夜景がキラキラしてる」

日和は部屋の奥まで行き、窓から見える街のイルミネーションに目を輝かせた。

「日向さん、ありがとう!もう私、幸せ過ぎて胸がいっぱい」
「どういたしまして。日和のその笑顔が、俺にとって何よりのご褒美だ」
「そんな……。私も日向さんにプレゼントがあるの。大したものじゃないけど」

日和はバッグの中から小さな箱を取り出し、日向に差し出す。

「メリークリスマス。いつもありがとう、日向さん」
「こちらこそ。ありがとう、日和。開けてもいい?」
「はい」
「なんだろう……。おっ、キーケース?」
「そう。日向さん、キーケースが壊れたって言ってたから」
「そうなんだよ。買わなきゃと思ってたから、嬉しい」

日向は上質な黒革のキーケースを手に取り、笑顔を浮かべた。

「いいな、この手触り」
「日向さん、中を開けてみて」
「うん。おっ、すごい!名前と、これはジョリーか?」

キーケースの内側には、『Hyuga』の文字と白い犬のワンポイントが刺繡されている。

「そうなの。可愛いでしょ?」
「ああ、世界でひとつだけのキーケースだな。ありがとう、日和。大切にする」
「うん!」

満面の笑みで頷く日和に、今度は日向がプレゼントを差し出した。

「メリークリスマス、日和」
「えっ!ううん、もう充分だよ。これ以上はもらえない」
「素直にもらってくれた方が俺は嬉しい。日和の喜ぶ顔が見たくて選んだんだ」
「そんな……。じゃあ、受け取らせてもらいます。ありがとう、日向さん」
「ああ」
「早速開けてもいい?」

もちろん、と言うと、日和はわくわくとラッピングを解いた。
四角い箱のフタをそっと持ち上げて、パッと笑顔を咲かせる。

「わあ、桜のフォトフレームだ!綺麗……」

桜の花びらがひらひらと舞うデザインで、ピンクのストーンがあちこちにちりばめられている。

「素敵ね。結婚式の写真を飾りたい!」
「ああ、そうだな」
「楽しみね、ふふっ」

可愛らしく微笑む日和を抱き寄せて、日向は優しくキスをする。

「日和、いつも俺に幸せをくれてありがとう」
「ううん。私の方こそ、日向さんにたくさん幸せにしてもらってます。本当にありがとう。私にはもったいないくらい、日向さんは素敵な人です。私、あなたのことが大好き」

無邪気に笑いかけてくる日和に、日向も思わず笑みをこぼす。
そしてまた日和を抱きしめ、何度も甘い口づけを交わした。