恋愛日和〜真逆の二人が惹かれ合うまで〜

「この間も素敵なディナーに連れて行ってもらったばかりなのに、今日もこんなに幸せな夜で、バチが当たらないかな?」

ワインで乾杯すると、日和が真顔で呟いた。

「全然。これからもっともっと日和を幸せにするから」
「私、日向さんと一緒にいられるだけで幸せなのに」
「じゃあ、俺の為につき合って。夜景を見つめる日和に見惚れたいから」

日和は真っ赤になってうつむく。

「恥ずかしい……。でも今だけだもんね」

小声でそう言う日和に、日向は、ん?と眉根を寄せた。

「今だけって、どういう意味だ?」
「だって、そんなこと言ってくれるのは、つき合って間もない今だけでしょう?結婚したら『日和』って呼んでくれなくなるし」
「おい、勝手に決めるな。俺はいつまでも『日和』って呼ぶ。子どもが出来てお母さんになっても、孫が出来ておばあちゃんになってもな」

日和は目を見開いて、両手で頬を押さえる。

「そ、そうなの?じゃあ私もずっと『日向さん』って呼んでもいい?」
「ああ、もちろん」
「会社の人の前では『あなた』って呼んでもいい?あと、一度でいいんだけど、その……『ダーリン』って呼んでみたいの」

上目遣いにそっと様子をうかがう日和に、今度は日向が真っ赤になった。

「ちょっ、それは、予告しなくていいから」
「そう?分かった。じゃあ、いつか突然呼ぶからね」
「お、おう。いつでも来い」

ふふっと可愛らしく笑う日和に、日向は思わず目を細める。
日和の何気ない言葉や仕草、そして他愛もない会話が幸せで心地いい。
日和がいてくれることで、毎日が新鮮で輝かしくなる。

(ずっとこの日常が続きますように)

日向は心の中でそう願った。