恋愛日和〜真逆の二人が惹かれ合うまで〜

「佐野様、宇野様。この度はご婚約、誠におめでとうございます」

黒のスーツ姿の担当女性スタッフが、にこやかに二人に頭を下げる。

「ありがとうございます」
「早速ですが、まずは日取りのご相談からさせていただきますね。お電話では、桜の咲く頃に挙式を、とのお話でしたので、何日か候補日を仮押さえしておきました」

そう言って六曜も書き込まれたカレンダーをテーブルに広げた。

「当ホテルは桜が有名ですので、やはりその時期はご婚礼のご予約も集中いたします。平日ならまだ余裕があるのですが、休日となると、4月の上旬は既に空きがございません。3月27日の土曜日でしたら、ひと枠空きがございましたので仮押さえしておきました。いかがでしょうか?4月10日も押さえてありますが、桜の見頃は過ぎている可能性もございます」

なるほど、と頷いてから、日向は日和と顔を見合わせる。

「日和はどっちがいい?」
「私は3月27日がいいです。満開には早いかもしれないけど、開花はしてると思うし。それにね、3月27日って、桜の日なの」

えっ、そうなのか?と日向は驚く。

「そう。桜『咲く』で、3×9=27」
「おおー、その由来いいな」
「ふふっ、日向さん方程式好きだもんね」
「いや、それは単なるかけ算な」
「じゃあこの日でいい?」
「ああ、そうしよう」

笑顔で頷き合い、無事に正式な予約を済ませた。
詳しい打ち合わせは次回以降ということで、パンフレットをもらってサロンを出る。
その足で最上階のレストランに向かった。