翌日のクリスマスイブ。
平日の為、二人でいつものように出社する。

仕事をこなしながらも、日向は悶々としたままだった。

(女心が読めないと言われた俺でも、日和のことなら分かってるつもりだった。けど、まだまだだったのか?俺の知らない日和がいたなんて。どうやったら日和の気持ちが分かるんだ?)

時折頭を抱えつつ、定時になると日和と会社のエントランスで待ち合わせた。
クリスマスイブのせいか、皆は早々に退社して、エントランスには誰もいない。

しばらくすると「お待たせしました!」と日和の声がした。
更衣室でワンピースに着替えた日和が、笑顔で駆け寄って来る。
真っ白なワンピースはスカート部分がグラデーションで水色に変わり、雪の結晶の柄がちりばめられていた。
水色のボレロを羽織り、毛先を巻いた髪もふわっとハーフアップでまとめていて可愛らしい。

「外寒いから、コート着な」
「はい」

日和が腕に掛けたままのコートを羽織ると、日向は持っていた紺色のマフラーを日和の首に巻いた。

「これも巻いてろ」
「ありがとうございます」

首元を整えていると、日和は顔を上げて日向のされるがままになっている。
日向は最後に日和のふっくらした唇にチュッとキスを落とした。

「ひ、日向さん、どうしたの?急に」
「別に。可愛いからキスしただけ。ほら、行くぞ」

無意識にキスをしてしまった自分に、何やってんだよ俺は、と心の中で呟きつつ、真っ赤になった日和の手を引いて、会社をあとにした。